『 花粉病 』
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 スギちゃんは植物です。 毎年春になると繁殖のために、花粉を、願いと共に風にのせて飛ばします。
スギちゃんは、自分たちの子孫繁栄を願っています。
 ニンゲンくんは動物です。 近頃は、スギちゃんの事がキライです。
なぜなら、スギちゃんの花粉は、ニンゲンくんにはアレルギーのもとになるらしいのです。
 このアレルギー症状はさいきん発見されたもので、『花粉病』という病名がつけられました。
花粉病に罹ると、目が痒くなり、くしゃみや、鼻づまりをするようになります。 酷いときには熱や頭痛まで感じるようになり、花粉病からくる不眠に悩む人もいるらしいのです。
 だからニンゲンくんは、スギちゃんがキライです。
天気予報のあとにテレビに映る花粉予報が、《飛散量:すごく多い》 となっていると、うんざりとするのでした。

 花粉病のおそろしいところは、誰にでもかかる可能性があるということです。
 ニンゲンくんの身体の中には、グロブリンEさんというヘンテコな名前の抗体さんがいます。 
 このグロブリンEさんは、身体に寄生する小さな虫さんなどを退治するための抗体さんですが、どうもスギちゃんを含めた植物の花粉を虫さんと勘違いしてしまうことがあり、束になって退治に乗り出します。
 グロブリンEさんがたくさん産生されて溜まってしまう事で、花粉病の代表的なアレルギー症状が出るらしいのです。
どれだけ溜まったら花粉病になってしまうかは、個人差があり、ニンゲンくんはよく、これをコップなどの『器』を以って例えるのでした。 許容量は大小、人それぞれという事なのだそうです。
 グロブリンEさんは、今ほどニンゲンくんの生活がエイセイ的じゃなかったときには、たいへん活躍していたらしいのですが、近頃はめっきり仕事がないものだから、花粉を見つけると俄然やる気を出して仕事をするのでした。

 ニンゲンくんのとある国では、花粉病に苦しむあまり、「国はスギちゃんを全部切り倒せ」と声高に叫ぶ人まででてきました。
「税金でやれ。 スギちゃんを焼いてしまえ」と真っ赤な目で怒ります。
 そんな事は、なかなかできません。 ニンゲンくんが、持ち主の許可なく山の木を勝手に切ることは、彼らのホウリツが許さないのです。
「いや、国はむかし、木材になるスギちゃんを積極的に植えるように呼びかけた。 だから国のせいだ。 国は花粉病に苦しんでいるオレに賠償する責任があるはずだ」
 そんなふうにあちこちに怒りだす人まで、出てきてしまいました。 

 悪いのは、子孫繁栄のために花粉を飛ばすスギちゃんでしょうか。
花粉を小さな虫さんと間違えて、ついつい決められた仕事をこなしてしまう、グロブリンEさんでしょうか。
もしくはその両方ですか?
 ニンゲンくんは、とても困っているのです。
花粉病に悩むニンゲンくん達のお店では、今日も『花粉病』対策コーナーに並ぶ商品が売れ筋です。

 
 

 

2012.05.01 update

 


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  BUTAPENNさん、素敵な企画へ参加させて頂き、ありがとうございました!

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